水流遡行
夏のうねりに導かれて
繰り返す遠くの耳鳴りと共に
身体は弧を描いて
私の水面(みなも)へとダイヴする
薄暗い木造の洞窟で
きらきらと光る宝石のような
駄菓子たち
汗ばんだ五十円玉の重さ
弾むスーパーボール
どこまでも高く放ったパチンコ
太陽に打ち返されて
青いどんぐりの雨が降った
空がはじけて目をつぶれば
塩素の鼻をつく匂い、ホイッスルの音
焼けたコンクリートに
抱きついて見入った水たまりの水晶
浮かび上がってくる記憶の泡を溯り
たどり着いた核から
脈動する源泉となって溢れ出すもの
すべては
確かにここに在ったのだと
全身を貫いた
やわらかく
あたたかく
鮮烈な
光
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