オオミズアオ 風のない夜に 空気がそろりと動いた ざわめく星々の中で 一人沈黙し続ける 石化した月 かつては熱い塊だった 渇いた横顔 わずかな名残りが時折滲み出て したたり落ちる雫 たちたちと 夜の静寂に少しずつ気化し 失われてゆく 幼い感性 こぼすまいと 受け止めた手のひらから ふわり 飛び立つオオミズアオ すり抜けた 指先に残る鱗粉の光だけが 熱い 戻りたくとも戻れないのだと 音もなく 乱舞するオオミズアオたちが 夜に溶けてゆく したたり落ちる雫 取り戻せない 熱すぎる結晶
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1、ハタチ 2、成人の日 3、焦燥 4、エゴイズム 5、少年犯罪 6、ゼロ 7、オオミズアオ 8、ひとひら 9、水流遡行 10、胎動