詩集 ハタチ

ひとひら

 定規で引かれた冬の空気は
 ほおに当たってシャリリンとはじけた

 わずかに舞い散る粉雪が
 視界を覆い尽くしている雪の原に
 迷う事なく飛び込んでゆく

 静寂すら吸い取って
 立ちつくす私を責める
 圧倒的な、白、白、白!

 この純白の空間で
 私だけが異質な存在

 雪に拒絶されたのは
 私がいつの間にか
 汚れてしまったからだろう
 純粋な美しさに
 後ろめたさを感じるのは
 懺悔するしなやかさを
 見失ったせい

 痛いのではなく疼くのだ
 雪と同化できない心が
 しくしくと疼くのだ

 もう私には雪になる資格はないけれど
 手のひらで溶けた小さな花びらの中に
 確かに光を見たと思ったのだ