詩集 ハタチ

エゴイズム

 「地球にやさしく」などと
 誰が言い出したのだろう
 優しくされているのは人の方なのに

 寄生虫のように何もかも吸いつくし
 宿主が死にかけて
 慌てていたわり始めた

 地球という名の生命体は
 自己治癒力も
 自己防衛力も
 恐ろしいほどに高い
 ならばなぜ
 自分を蝕む病原体を排除しないのか

 寛大な地球に気づかない
 愚かな愚かな私たち

 地球にとって一番安易な解決法は
 人を見捨ててしまう事
 それでも瀕死の地球は
 私たちに優しいのに

 「地球を守ろう」などと
 主導権は人にあると
 地球を庇護するのだと
 傲り続けられる
 吐き気を催すしたたかさ

 結局すべてが人間のためなのだ
 醜い本音をすり替えて

 愚かと分かっていても
 自分が人がいとおしい
 地球よりも
 人がいとおしいのだ
 がむしゃらにいとおしいのだ

 ごめんなさい、馬鹿で
 ごめんなさい
 ごめんなさい