焦燥
時計の秒針が
六億三千万回の秒読みを終えようとしている
開け放した窓から正対する
ひしゃげた太陽が
一秒ごとに膨れ上がり
地球を圧迫し
体内浸透圧までをも狂わせてゆく
巨大な瞳に睨まれて
不快な涼しさと、せつない灼熱感が入り乱れ
自分が床の上に立っているはずだという
感覚すら
不確かなものとなる
浮遊する私を置き去りにして
太陽は
明日を約束せずに消えた
濃くなる闇の中
鼓動と共にせり上がってくる濁流が
うず巻きながら私の眩暈を誘う
時代
都合の良い言葉に
ハイヒールのリズムのような心地よさを感じて
自分ではない誰かに期待し
自分ではない誰かに失望し
自分ではない誰かを責め
メビウスの輪
水しぶきは口蓋を叩き続け
いつしか身体の奥底に宿った熱で膨脹し
脳天までを満たして
窒息しそうになる
私は何をしているのだ
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