詩集 蒼い曇り硝子

鈍色の町

 コンクリートの空がのしかかってくる
 歪み切った視界の中で
 ビル達は斜めに首をうなだれ
 道は先に行くほど細い

 アスファルトで固められた歩道
 逸れて通ることを許されない白いレール

 排気ガスの臭いにむせ返り
 思考力は錆びついたまま
 僕らは歩いて行くのか

 人込みの中はどこよりも孤独で
 人の流れはどこまでも一方的で
 誰かがつまずいても気づかないほどの喧噪でも
 人はそれを好ましいと言う

 人波をかき分けて
 それでも僕らは前に行かねばならないのか
 立ち止まってはいけないのか

 振り返って足元を見つめた時
 取り残されるのが怖くて
 僕らは歩き続けるのだろうか…