砂の尖塔(ミナール)
そこが砂漠だという事すら気づかずにいた
何かを築き上げたくて
証がほしくて
免罪符を手に入れたくて
必死に積み上げてゆく
足場を形作るはずのものでも
上へ上へと
太陽がどれほど遠いかも知らず
ふと振り返れば
築き上げてきたものは
広大な砂漠の中の
小さな砂の尖塔(ミナール)
高さを見せつけたかったのは
脆さを悟られないため
塔の存在意義を疑った時にはもう
オアシスまでの道のりはあまりに遠い
神はバベルの塔を
雷(いかずち)で打ち据えられた
砂の塔は
指先でつついただけで
ほら
足元から崩れてゆく
|