詩集 神々の視線

白鷺

 私も自在に空を飛んでいた時があった
 疲れも知らず
 無邪気に風の中を羽ばたいていた

 だけど、ああ…!
 あの日放たれた銃弾
 空と大地が入れ替わり
 捕らえられた私は
 籠の鳥となった

 籠の間から見上げた真夏の空に
 一羽の白鷺
 どこまでも太陽を目指して
 羽ばたく

 白鷺よ飛ぶがいい
 誰よりも雄々しく
 気高く風に舞うがいい

 陽が照りつけ
 雨がその翼を打ちすえ
 飛び続ける事に疲れても

 白鷺よ飛ぶがいい
 お前に飛ぶ事をやめさせられる者は誰もいない

 私はもう飛べないけれど

 咽から血を吐くほどの叫び
 お前は自由!