詩集 神々の視線

気海

 秋の空はツキンと痛い
 見上げると体中の水分が吸い取られてしまいそうで
 果てしない銀河の彼方へと続く空間は
 喉の渇きに満ちているだろう

 秋の空は樹々の青さを吸い取って
 あんなに高く澄んでいるのだろう
 地球中の青が奪われ
 あたりは一面の茜色

 宇宙は水を欲し、青を求めた
 地球も水を欲し、青を求めた
 空がこれほど青いのは
 万有の引力がそれらを取り合って
 空の高みに海を創ったからに違いない

 雲はよく干からびずに
 浮かんでいられるものだ
 赤とんぼがうらやましそうに宙返りをした